わたぼうし


希望があれば独居でも・・・

更新日時
2016年03月31日(Thr)

 地域性もあるかもしれませんが、この時代のためなのか、独り暮らし、ご家族がいらしても仕事のため日中お一人になる利用者様が増えてきているように思います。そんな中、「家で過ごせるのかしら」とご不安になる方も多いと思いますが「家で最期まで過ごしたい」との思いは叶えることができるのです…。
 Iさん(女性78歳 白血病)に始めてお会いしたのは9月終わりのまだ暑い日のことでした。息子さんと二人暮らし、息子様は仕事のため日曜日以外7時から23時までご不在でした。Iさんは普段から37℃台の微熱はありながらも、簡単な食事の用意(レンチン)、洗い物はされ、ヘルパーさんの買い物、食事の用意、シャワー浴介助などもあり「調子いいです。食事が美味しくて楽しみ。こんなに長く生きられるなんて思わなかった」と笑顔で過ごしてらっしゃいました。その後も足のむくみや、腹部の腫れ、湿疹など少しずつ症状も出てきましたがしんどさはなく、「食事を美味しくいただいて、一日が無事に終われたら有り難いと過ごしています。こんな調子なら家で最期まで過ごしたい。」と一人の時間も長いのにそれは全く不安でなく、穏やかな時間であることをいつも語って下さいました。普段どんなことを考えて過ごされているの?と伺った際には「息子にお好み焼屋に連れていってもらって楽しかったことを思い出したりしている」など教えて下さいました。人は病気がありながらも、楽しい思い出を胸にこんなに穏やかに過ごすことが出来るのかと人の強さを見せていただいたと共に、いつも人生の先輩として大きな姿を見せていただいている思いでした。
 2月中旬になり38℃近くの熱、息苦しさも出始めましたが、熱さましを飲まれ、酸素吸入を開始され症状は改善して過ごされていました。少しずつ横になる時間が多くなりながらもトイレには歩き、台所にも短時間は立って炊事をされていましたが、ある日、私が訪問すると昨晩から起きられなくなってきているとのこと。一通り身の回りのお世話、飲食を手伝うと「よかった、嬉しい」と喜ばれました。今まで頻回な訪問を好まれなかったIさんですが、今はヘルパーさんの手助け、看護師の訪問を増やす時期が来ていることをお伝えするとすぐに了解され1日2回のヘルパー、連日看護師訪問を開始しました。一つ心配なのは、息子さんが「動けなくなってきても仕事は休めないですし、入院の方が安心です」と言われていたことでした。ご本人の思いを伺うとやはり「家がいい。困ってない。安心。」と話されます。私はそれだけだろうか・・・と感じ(家にいた方が息子さんに会う時間が増えるのかな?息子さんとなるべく一緒に居たいからなの?)と伺うと大きく頷かれました。その旨を息子さんに再度お伝えすると、息子様は了解され自宅で過ごすことを決心されたようでした。その晩Iさんが「しんどい」と言われたと息子さんから電話があり、安定剤の坐薬を入れて下さいました。夜中には、すやすや眠っていらっしゃいましたが、朝方に呼吸が止まっていらしたとのこと。Iさんは自宅に愛する息子様がいらっしゃる時を選び、眠るように安心の中旅立たれました。息子さんも「苦しまずに過ごせたと思います」と言って下さいました。

 訪問看護の仕事をしながら、病気があってもその人らしく人生を生ききることができ、最期を迎えることが出来るのだなと日々教えて頂いている思いです。
 がんなど症状緩和が必要な方、慢性疾患など様々な病気を抱えている方、老衰の方など、どのような病状の方でも訪問看護は療養のお手伝いをしていきます。「家で過ごしたい」「過ごさせてあげたい」とのお思いは、ぜひ最寄りの訪問看護ステーションにご相談していただけたら嬉しく思います。       大谷 美加
2016年しだれ梅

2016年03月