ターミナル期の在宅ケアにアロマトリートメントの家族指導を取り入れた症例報告|スタッフブログ|林山朝日診療所グループ|神戸市須磨区・長田区・西区

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2009年02月27日

ターミナル期の在宅ケアにアロマトリートメントの家族指導を取り入れた症例報告

目的

がん患者は様々な、身体的、精神的症状を訴えられます。今回、両下肢(臀部・大腿・膝)痛・痺れ、右腹部の張りと痛み、浮腫みを少しでも軽減してその人らしい生活が過せるようにアロマトリートメントを実施、家族指導を取り入れました。その結果、症状緩和とQOLの向上、本人・介護者のリラクゼーションをもたらし、最期までその人らしく生活できた症例を報告します。

対象と方法

40歳代女性。1年前に左腎癌根治的腎摘出術後、肺・リンパ・肝・腰椎(L1)転移。夫、専門学校生の長男高校2年の長女、中学1年の次男、義理の母80歳代(認知症)の6人家族。実母70歳代(膠原病)遠方より泊りがけで介護(7ヶ月)。右腰部・下肢痛、痺れ著明にて歩行、坐位困難で臥床時間が多い、NSAIDs+鎮痛補助薬にて疼痛コントロール。車を運転して外出できるようになっていたが、痛みの増強左の下肢にも痛み出現にてデュロテップパッチ1.25mgから開始、3.75mgまで増量、鎮痛補助薬+ケタラール水などを併用してコントロールされる。排便はマグミット、ラキソベロンにて調整を図る。浮腫はみられなかったが症状進行に伴って下肢から始まり腹部、全身と浮腫が認められるようになる。

左下肢痛出現頃からアロマトリートメント実施する。真性ラベンダー(Lavandula angustifoliaプラナロム社)0.2mlローズマリーカンファー(Rosmarinus officinal camphreプラナロム社)0.2mlスィートアーモンド油(Prunus amygdalus var.dulcisメドウズ社)20ml、2%濃度にて下肢トリートメント実施。麻薬使用後腹部膨満感、排便コントロールにて真性ラベンダー(Lavandula angustifoliaプラナロム社)0.2mlティトゥリー(Melaleuca alternifoliaプラナロム社)0.2mlスィートアーモンド油(Prunus amygdalus var.dulcisメドウズ社)20ml、2%濃度に変更、腹部トリートメント実施2・3回一緒に母親に指導実施。下肢に関しては難しいとトリートメントは足関節から足趾のみ他は塗布を勧める。腰部から下肢に関しては訪問時看護師が実施する。

結果

肝臓の腫瘤で「お腹破裂してしまうのでは」と言われていたが腹部トリートメントすると楽になると言われていました。浣腸しても排便困難だった状況が排便しやすくなる。下肢や腹部の痛みが増強時、頓服薬と共に家族がアロマトリートメントすることで緊張を和らげた。看護師の下肢トリートメントにて浮腫軽減、歩行しやすくなる。看護師がトリートメント中、本人ウトウトされ、家族が思いを話される。

考察

本人の苦痛表情や思うように動かせないでいる姿をそばで看る家族は、どうしてあげたらいいのか戸惑いただ見守るしか出来ないもどかしい状態になります。心をこめてアロマオイルを塗布してトリートメントするというケアにより、表情が和らぐ姿をみる事でジレンマから解放されます。そのことで患者と家族の絆を深め、本人・家族とも精神的な安定に繋がったと思います。今後とも在宅生活を維持していく一つの方法としてアロマセラピーを取り入れ本人・家族のサポートしていきたい。

中村晴美 訪問看護ステーションわたぼうし

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