2026年06月28日 林山クリニック
〜「がんだけではない」緩和ケア〜
「緩和ケア」と聞くと、
多くの方が「がんの終末期医療」を思い浮かべるかもしれません。
しかし現在、緩和ケアの考え方は大きく広がっています。
世界保健機関(WHO)は、緩和ケアを
「生命を脅かす病気に関連する問題に直面している患者さんとその家族のQOL(生活の質)を改善するためのアプローチ」
と定義しています。
この定義の中には、もともと「がん」という言葉は入っていません。
近年は、診療報酬改定や国の方針の中でも、緩和ケアは「がんだけではない」という考え方が重視されるようになっています。
実際には、次のような病気の患者さんも、多くの苦痛や不安を抱えています。
心不全
腎不全
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
神経難病
認知症
例えば心不全では、
少し動くだけで息切れする
夜に苦しくて眠れない
入退院を繰り返す
「また悪くなるのでは」という不安が強い
といった問題がみられます。
COPDでも、息苦しさによって、外出や日常生活が大きく制限されることがあります。
腎不全では、透析や食事制限、倦怠感などによる負担が少なくありません。
こうした患者さんに対しても、症状緩和や生活支援、意思決定支援を行うことが、今後ますます重要になっていきます。
また、緩和ケアの目標は、患者さんやご家族の「QOL(生活の質)を改善すること」であり、「もう治療をしない」という意味ではありません。
心不全の治療を続けながら
在宅酸素を使いながら
透析を受けながら
リハビリをしながら
同時に、苦痛を和らげる医療を行うことができます。
「治す医療」と「支える医療」は、対立するものではなく、どちらも大切です。
こうした緩和ケアの目標は、医師だけで実現することは難しく、
看護師
ケアマネジャー
介護士
薬剤師
リハビリスタッフ
ソーシャルワーカー
など、多職種で支えることが非常に重要です。
特に非がん疾患では、病状がゆっくり進行したり、急に悪化してまた持ち直したりすることも多く、日常の小さな変化に気づくことが大切になります。
緩和ケアは、「最期の医療」ではなく、病気とともに生きる方を支える医療です。
当院でも、がんに限らず、心不全・腎不全・COPDなどを含めた緩和ケアに積極的に取り組んでまいります。
緩和ケアについて、今後も少しずつ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
林山クリニック 愛新 啓志